音楽

空間現代 COLLABORATIONS@SuperDeluxe:その3

十月某日 最終日。最も期待していた灰野敬二とのコラボ。灰野さんについては何度かこのブログでは取り上げている(なぜ彼は髪を伸ばし続けるのか?:『ドキュメント 灰野敬二』/この深みまで降りて来い:『捧げる 灰野敬二の世界』)。オレが敬愛する音楽家…

空間現代 COLLABORATIONS@SuperDeluxe:その2

十月某日。 二日目公演は劇団地点とのコラボレーション。地点とは過去にもコラボーレーションしていて、今回が二回目となるわけだが、その緊密かつ意欲的な共同作業はコラボレーションの域を越えている。地点とはどんな劇団なのだろう。 多様なテクストを用…

空間現代 COLLABORATIONS@SuperDeluxe:その1

十月某日。 空間現代が三日間日替わりでコラボーレションをするという企画、その名も「空間現代COLLABORATIONS」に行ってきた。 空間現代は不思議なバンドだ。(ポスト)ロック的でもあるし、実験的ながらも非常に詩的(意外と思う人もいるかもしれないが)…

マイブラが目指したその先へ:MOGWAI アルバム&ライヴ・レヴュー

三月某日 モグワイがバンド結成から二十年を迎えたそうだ。あれから二十年も経ったのかと思うと感慨深いと同時に時の流れの早さに驚く。その間に色々なことがあったなぁ。英国での生活と本気の永住を考えたり、帰国後はフリーランスで執筆したり、就職したり…

アジアン・ミーティング・フェスティヴァル 2015 東京公演@アサヒ・アートスクエア(通称うんこビル)

二月某日 アンサンブルズ・アジアの関連イヴェント、アジアン・ミーティング・フェスティヴァル2015の東京公演を見に行った。 最初にこのコンサートの成り立ちも含めて、関連プロジェクトを説明しておくよ。それぞれ名前も似通っていてごちゃごちゃとわけが…

凶暴な儀式:SWANS@渋谷O-EAST

一月某日 スワンズと言えば、ニューヨーク地下活動組の闇の帝王。若い頃に夢中で聞いていたソニック・ユースとは同じシーンに属し、互いに交流が深かった。当時ジャンクと呼ばれた、今で言ういわゆるインダストリアル・ノイズも初期のソニック・ユースと共通…

PIXIES:アルバム『Indie Cindy』&ライヴ@サマソニ2014・レビュー(後編)

八月某日 前回記事からの続き・・・ 新作を引提げてピクシーズが来日する。出演するのはサマソニ2014、ソニック・ステージのトリである。 お目当てが登場するのは20:20pmの予定だが、高いチケット代を払ったのでモトをとりたいっていう欲をかいて午後の早い…

PIXIES:アルバム『Indie Cindy』&ライヴ@サマソニ2014・レビュー(前編)

八月某日 実に14年ぶりにサマー・ソニックに行ってきた。何年ぶりというよりも、富士急ハイランドで開催された第一回サマー・ソニック(2000年)以来である。幕張に移ってからはもちろん初めてだし、夏フェス自体、最後に行ったのが10年近く前(いつだったか…

鈴木昭男+齋藤徹、10年振りの共演:JOLT@六本木スーパーデラックス

八月某日 JOLTというイヴェントに行ってきた。 出演: 鈴木昭男 + 齋藤徹 IF I COULD SING (feat. The BOLT Ensemble, from Australia) 中村としまる + 広瀬淳二 + 山本達久 永田砂知子 + chiharu mk + 中山晃子 (alive painting) DJ: Evil Penguin 目玉はも…

ビリビリと震える空気、ズシリとのしかかる重さ:Earth@新大久保アースダム

六月某日 ギターの音が大好き。透明な澄んだ音も好きだけど、歪んだ音がもっと好き。ギターが電気化されたことでそういう歪みが増幅され強調されるようになったけど、そこには、何ていうのかな、人工的な歪みと自然にできる歪みの違いがある。例えるなら、チ…

エキゾチック・スロウコア:『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』@キネカ大森

五月某日 今さらながら見てきた。音楽のために作られたギャグ映画だった。吸血鬼を完全に小馬鹿にしたパロディ。大爆笑とはいかない が、クスッとさせるところはある。アダムとイヴなんてベタ過ぎるぜ。名女優ティルダ・スウィントンとトム・ヒドルストンが…

いかなる権威にも囚われない:『CRASS:ゼア・イズ・ノー・オーソリティ・バット・ユアセルフ』@新宿K’sシネマ

五月某日 「どんな音楽が好き?」って聞かれた時、どう答えていいかわからない。「説明できないから」と切り捨てたら会話が続かない(無理に続ける必要がないって声もあるだろうけど…)し、かと言って「こんな音楽です」とバカ正直にアーティストの名前を挙…

沁みた~。深く、深~く沁みこんだ…:Yo La Tengo@六本木エックスシアター

五月某日 沁みた~。深く、深~く沁みこんだ。決して押しつけがましくない。自然と寄り添ってくる。熱狂とか興奮とはちょっと違う。でも、やっぱりヨ・ラ・テンゴはオレにとってとても大事なバンドなのだな。あらためて実感した。過去の記事にも書いたけど、…

さよならバウスシアター、最後の宴。コア・アノード篇@吉祥寺バウスシアター

五月某日 昨年は『あまちゃん』人気で一躍有名人となった大友良英。劇伴作曲家として彼の名を知る人は多くなったけど、ノイズ・ミュージック~即興演奏~実験音楽と多 岐にわたる、そして“コア”な作品と活動はまだまだ一般的じゃないかもね。そんな大友さん…

ガレージロック、いや全ロックンロール・ファン必見!!:『GET ACTION!!』@シネマート新宿

三月某日 ティーンジェネレイトって覚えてる? 1993~1995年頃に活動していた日本のインディー・バンド。若い人の多くは知らないだろうな。ガレージ・ロック好きなら知ってるかも。 彼らの名前をはじめて聞いたのは、英国BBCラジオの名物DJ、 ジョン・ピール…

プリミティヴな歌の中にある狂気:植野隆司フォーク100@高円寺円盤

三月某日 植野隆司(テニスコーツ)の新作「植野フォーク100」の発売記念ライヴを見た。 「植野フォーク100」は6本のカセットテープにタイトルそのまま100曲が収録されている。今回、そこに収録された全曲を三日間で演奏するらしく(結果的に未収録の1曲+カ…

ACID MOTHERS TEMPLE & SPACE PARANOID@秋葉原クラブグッドマン

三月某日 アシッド・マザーズ・テンプル(以下AMT)のギグに行く。今回はAMT&SPACE PARANOID。タイトルは「Bloody Parinirvana Day(血まみれの涅槃会)~ ACID MOTHERS TEMPLE & SPACE PARANOIDワンマン in 帝都」。SPACE PARANOIDについては以下の紹介文を…

あまちゃんスペシャル・ビッグバンド―年忘れヒットパレード@新宿PIT INN

じぇじぇじぇー!!! サイコーサイコー!! 感動! そしてナ・ミ・ダ…。2013紅白歌合戦「あまちゃん」コーナー見た? ドラマの最終回に見立てた実に粋な演出で感動したぜ。 さてさて、紅白の感動同様、昨年最も印象に残ったマイ・ベスト・ギグはあまちゃん…

マイブラ狂想曲:My Bloody Valentine@東京国際フォーラム

22年間見続けていた夢から覚めた。今まさにマイブラが目の前で演奏している…。 22年前、前作『Loveless』が発表されたときはまだ大学生だった。と言っても授業にはあまり、というかほとんど出席せずにバイトばかりしていた。大学のクラスメートは敵のように…

音楽は魔法ではない?:ニュータイプ・シンガーソングライター、大森靖子

8月29日@新宿ロフト。今年に入ってからずっと気になってるアーティスト、大森靖子のライヴを見てきた。 この日は戸川純とのジョイント・ライヴ。強烈な個性を放つ新旧女シンガーソングライターふたりを一夜で見られるお得なイヴェント。会場には若い女の子…

静謐と幽愁の美学:The Invisible Way/Low

ロウの新作『The Invisible Way』が素晴らしい。 彼らをはじめて聞いたのはアルバム『Secret Name』が発表された1999年で、以来彼らの作品は愛聴し続けてきた。当然新作にも期待していたけど、これほどヘヴィーローテーションするなんて…!! どの曲も聞けば…

悲劇の誕生:Godspeed You! Black Emperor アルバム&ライヴ レビュー

ゴッドスピード・ユー!ブラック・エンペラー(以下GY!BE)が新作の録音をしている…。そんなニュースをネットで目にしたのは昨年の秋ぐらいだったろうか。それからすでに数ヶ月、再び『bbf3』をこうしてライヴで聞けるとは...。 一昨年の来日公演(All Tomor…

光と音の宇宙:Filaments Orchestra@世田谷パブリック・シアター

世田谷パブリックシアターで先日行われたフィラメンツ・オーケストラは素晴らしかった。音だけではなく視覚的にも芸術的で、少なくともオレの音楽体験の中ではかつてないほどの美しい公演・作品であった。同時にあのフィラメンツからこのような形の美しい音…

成熟したアマチュア・バンド?:『Fade』/Yo La Tengo

昨年11月、日本のファンへのちょっとしたプレゼントのようにヨ・ラ・テンゴの来日公演が催された。それはオレの古くからの“ヨ・ラ・テンゴ愛”に再び火をつけるに十分な素晴らしいものだった。それをきっかけに過去の作品をひっぱり出しては聞き返し、懐古的…

この深みまで降りて来い:『捧げる 灰野敬二の世界』

この一年のオレの音楽生活で最も印象に残ったのはやはり灰野敬二の存在だった。年初にオーレン・アンバーチ+ジム・オルークによるトリオを体験し、その後ドキュメント映画公開前夜祭イヴェントで新生不失者(メンバーは亀川千代とRyosuke Kiyasu)を体験。…

永遠のアマチュア・スピリッツ:The Freewheeling Yo La Tengo

ここ数日間、長年愛し続けているバンドのライヴが立て続けにあってずっとフワフワした気分だ。ダイナーソーJr、チェルシー・ライト・ムーヴィング(サーストン・ムーアの新バンド)そして今回のヨ・ラ・テンゴである。ダイナソーにサーストン・ムーア、そし…

相対性理論 presents「位相II」:相対性理論+Thurston Moore(Chelsea Light Moving)

先日のダイナソーを見逃した件は残念きわまりない。しかし不運あれば幸運もあり。その幸運が今回の『相対性理論+サーストン・ムーア』コンサートだった。実はオレ、相対性理論のライヴって今まで見たことなかったんだよね。厳密に言うと各メンバーが参加し…

このリフを永遠に聞いてたいよ:『I Bet on Sky』/Dinosaur Jr.

昨日はダイナソーJrの来日公演だった……が、当日朝まで仕事で行けなかった(起きられなかった)…。最新作『I Bet on Sky』の出来がすこぶるよかっただけに、この機を逃したのは痛い…。この歳になって日本のバンド(アンダーグラウンド以外のJポップとかもね)…

最初からそこにある音楽:大友良英 ONE DAY EMSAMBLES

東京国立近代美術館で『14の夕べ』なるイヴェントが開かれている。このイヴェント、音楽関連のプログラムに限って言うなら、普段なかなか見ることのできない大物(?)アーティストが選ばれていて(音楽以外は疎くてわからないけど)なかなか興味深い。小杉…

なぜ彼は髪を伸ばし続けるのか?:『ドキュメント 灰野敬二』

『ドキュメント 灰野敬二』、ついに見てきた。 灰野さんのコンサートは今年二度ほど見る機会があった。両方とも不失者としてだが、ひとつはオーレン・アンバーチ(dr)とジム・オルーク(b)を迎えたもの、もうひとつがたぶん今現在の正式メンバーと思われるr…