デヴィッド・リンチ展

渋谷ヒカリエ8にて開催中のデヴィッド・リンチを見る。

はじめてデヴィッド・リンチに接したのは『エレファント・マン』(1980:暗~く悲しい映画)だった。けど、はっきり彼の名を意識して見たのは―同年代の多くの人がそうだったように―映画ではなく、かの有名なTVシリーズ『ツィン・ピークス』(1989)だ。当時一大ブームになったから例にもれず私も友人が衛星放送を録画したビデオを借りて熱心に見たものだった。その時から「このオッサンは狂ってる。いったい頭の中はどうなってんだ?」とは思ってた。はっきり言って熱烈なファンでもない・・・んだけど、なぜか気になる。ま、世間的に評価されてる(「デヴィッド・リンチが好き」とか言うとセンスいいトンガってる人みたいでしょ?)から気になるだけかもしれん。『ワイルド・アット・ハート』(1990年)は好きだけど『ブルー・ベルベット』(1986)の良さはよくわからないし、カンヌで賞をとった『マルホランド・ドライヴ』(2001。え、あれから10年以上もたってるのか!?)にいたっては未見のまま。で、今回の展示も映画界のカリスマ監督の作品ってことでなんとはなしに見に行ってきたって感じ(スミマセン)。

 

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『絵のこととなると、私が本当に美しいと思うのは暗いものの方だ。人生の明るい面を自分にとって心地よい様に描くことは学ばなかったのだろう。そう するこ ともできるとは思うけれどーーールソーはそうだし、ある意味でリチャード・ディーベンコーンもそうだ。しかし私の絵はすべて有機的で暴力に満ちたコメディ だ。暴力的に制作され、プリミティブで剥き出しなものでなければならない。そしてそれを実現するために、私は私が描くよりも衝動が描くにまかせ、自分はな るべくその邪魔をしないように努める。実際、ブラシで描くことは少なくなっ たーー指を使う方が好きだ。できることなら絵に噛み付きたい。』

 −デヴィッド・リンチ (東高現代美術館編集「デヴィッド・リンチ PAINTINGS DRAWINGS」1991年より抜粋)

 

ドローイングやペインティングも見てのとおりシュールかつプリミティヴ。色使いや配色はわりと好み。映画監督になる前のリンチはもともと絵画を勉強していたそうだ。なるほど画家の素質もあるってわけね(素人にはよくわからんけど)。「できることなら絵に噛み付きたい」という言葉はそのプリミティヴの表れだね。で、そのシュールとプリミティヴを過剰に掛け合わせるとリンチ作品のような変態映画が生まれるのかなとも思ったり。で、あらためて彼の映画を見直したいね。

ちなみにこれらの作品は展示とともに販売もされてる。写真のような大きな作品で25万円とかだったかな? それだけの価値があるのか? 投資としてなら・・・???

 

余談。リトグラフってたまに耳にするけどいったい何?、と思って調べた。が結局、版画の手法のひとつであることまではわかったけど具体的なしくみや工程についてはサラッとネット上での説明読んだだけじゃよく理解でずにあきらめた(トホホ・・・)。