2012-01-01から1年間の記事一覧

この深みまで降りて来い:『捧げる 灰野敬二の世界』

この一年のオレの音楽生活で最も印象に残ったのはやはり灰野敬二の存在だった。年初にオーレン・アンバーチ+ジム・オルークによるトリオを体験し、その後ドキュメント映画公開前夜祭イヴェントで新生不失者(メンバーは亀川千代とRyosuke Kiyasu)を体験。…

永遠のアマチュア・スピリッツ:The Freewheeling Yo La Tengo

ここ数日間、長年愛し続けているバンドのライヴが立て続けにあってずっとフワフワした気分だ。ダイナーソーJr、チェルシー・ライト・ムーヴィング(サーストン・ムーアの新バンド)そして今回のヨ・ラ・テンゴである。ダイナソーにサーストン・ムーア、そし…

相対性理論 presents「位相II」:相対性理論+Thurston Moore(Chelsea Light Moving)

先日のダイナソーを見逃した件は残念きわまりない。しかし不運あれば幸運もあり。その幸運が今回の『相対性理論+サーストン・ムーア』コンサートだった。実はオレ、相対性理論のライヴって今まで見たことなかったんだよね。厳密に言うと各メンバーが参加し…

このリフを永遠に聞いてたいよ:『I Bet on Sky』/Dinosaur Jr.

昨日はダイナソーJrの来日公演だった……が、当日朝まで仕事で行けなかった(起きられなかった)…。最新作『I Bet on Sky』の出来がすこぶるよかっただけに、この機を逃したのは痛い…。この歳になって日本のバンド(アンダーグラウンド以外のJポップとかもね)…

私的アキ・カウリスマキ作品BEST3

フィンランドの映画監督、アキ・カウリスマキの最新作『ル・アーブルの靴磨き』が今年4月に日本で公開された。公開後すぐ、大きな期待とともに勇んで映画館へ出かけていったのだが、期待は少なからず裏切られた。たしかに随所に“カウリスマキ流”の台詞、映像…

a bit like you and me...:奈良美智展

奈良美智の熱烈なファンというわけではない。でも、なぜか彼の絵に惹かれる。そして今展覧会のタイトル『君や僕にちょっと似ている』を耳にしたとき、ビリビリッと音がして回路に電流が流れた。まさに奈良の絵を象徴している!!と。そー、そー、そーなんだ…

最初からそこにある音楽:大友良英 ONE DAY EMSAMBLES

東京国立近代美術館で『14の夕べ』なるイヴェントが開かれている。このイヴェント、音楽関連のプログラムに限って言うなら、普段なかなか見ることのできない大物(?)アーティストが選ばれていて(音楽以外は疎くてわからないけど)なかなか興味深い。小杉…

愛と運命、25年の誤解?:『ベティ・ブルー/愛と激情の日々』

映画『ベティー・ブルー』公開から25年周年ということで現在、デジタル・リマスター版による再上映が行われている。しかも「日本では見ることが困難だったオリジナル版」なんだそうだ。初公開当時、この映画は大きな話題となった。DVDがなかったあの時代、オ…

真夏の熱気と涼:池袋演芸場納涼特別興行

池袋演芸場の上席、納涼特別興行昼の部初日を見たぞ。 八月上席昼の部主任は小三冶会長! そのほかにも副会長市馬、権太楼に三三と実力人気ともに高い出演者がそろったなんとも豪華な番組。この出演者で三千は安いでしょ!! 当然、平日にも関わらずチケット…

なぜ彼は髪を伸ばし続けるのか?:『ドキュメント 灰野敬二』

『ドキュメント 灰野敬二』、ついに見てきた。 灰野さんのコンサートは今年二度ほど見る機会があった。両方とも不失者としてだが、ひとつはオーレン・アンバーチ(dr)とジム・オルーク(b)を迎えたもの、もうひとつがたぶん今現在の正式メンバーと思われるr…

2012年の原始とリアル:テニスコーツ

先日、とあるライヴが墨田川のほとりにある牛嶋神社で人知れずひっそりと開かれた。「人知れず」などと言っては演奏者に対して失礼だけど、それは彼らの才能とその日の演奏の素晴らしさのわりに訪れた客のが少なかったことに対する皮肉にすぎない。その演奏…

デヴィッド・リンチ展

渋谷ヒカリエ8にて開催中のデヴィッド・リンチ展を見る。 はじめてデヴィッド・リンチに接したのは『エレファント・マン』(1980:暗~く悲しい映画)だった。けど、はっきり彼の名を意識して見たのは―同年代の多くの人がそうだったように―映画ではなく、か…